会計システムとコンサルタント会社とのデータの整合性を取る作業が難しい件

外部監査人による会計監査

一般的に監査と言えば会計監査法人による会計監査を意味することが多いですが、この法定監査を義務付けられているのは会社法で規定されている大会社のみです。ただこの大会社の定義が「資本金5億円以上または負債200億円以上の会社」というもので、会社の成長に伴って監査義務対象に入ったり、衰退にともなって対象からはみ出ることになります。

非公開会社であっても会計監査人(監査法人や公認会計士)の監査を受けなければならない(会社法328条)という法律がある以上、対象となる大会社が法定監査を行なわなければ法律違反で罰金の対象となりますが、現実にはグレーな運用になっていると思います。

ピータードラッガー的に言うと企業は社会の公器であるとはいえ、財務諸表の悪化は銀行審査や株価といった金融要素や入札条件等の営業要素に影響を及ぼすため「如何にブラックボックス化するか」「如何にキレイに見せるか」という、グレーゾーン周辺で無理に無理を重ねて財務諸表を作成する習慣出来上がり、たまたま東芝問題みたい表面化したときには不適切会計と言うこれまたグレーな言葉が生まれたのだと思います。

外部業務監査と内部監査

本来監査とは外部監査人による会計監査を指すことが多いのですが、JSOX(2006年に成立した金融商品取引法の中の内部統制に関するルール)制定以来、内部統制による社内コンプライアンスの遵守を評価する業務監査も社会的に重要視されています。

業務監査とは企業の会計業務以外の業務活動(購買・生産・物流・販売など)、および組織・制度などに対する監査ですが、直接的であれ間接的であれ、最終的には財務諸表の適正性の保証による株主保護に結びつきます。

  1. 会計外部監査:直接的に財務諸表の健全性を保証する。
  2. 業務外部監査:ISOやJSOXに照らして内部統制による社内法令の遵守が適切であることを保証する。
  3. 内部監査:ISOやJSOXに照らして内部統制による社内法令の遵守が適切であることを保証する。

また業務がシステム化された現在では内部統制の評価にIT統制が必須であり、インドネシアでも業務監査の際にERPシステムについて質問を受けるポイントは以下の3つに絞られます。

  1. 承認フローが適正かどうか
  2. システムへのアクセス権限が適正に設定されているかどうか
  3. オペレーションマニュアル、運用マニュアル等のドキュメントの有無

インドネシアの会計コンサルタント会社の仕事

インドネシアの日系製造業では会計コンサルタント会社と記帳代行契約や会計アドバイザー契約を結んでいるところが非常に多いため、会計システムを導入する際には必然的に月末の締め処理後に出力する財務諸表が正しいかどうかは会計コンサルタント会社が作成する財務諸表と照合します。

また会計システム利用開始(インドネシアではよくGO LIVEという言葉が使われる)の際に必要になる期首残高は、会計コンサルタント会社が作成する試算表(Trial Balance)に基づいてシステムにインポートまたは振替伝票で入力します。

インドネシアの会計コンサルタント会社は規模の大小はあれ、業務内容としては以下のように大別されます。

  1. 外部監査(会計監査・業務監査)
  2. 会計記帳代行・給与計算代行
  3. 税務サポート(PPH、PPN、関税など)
  4. ビザ・会社設立支援

日系企業にとって一番馴染み深いのが通称JAC(Japan Asia Consultant)さんですが、僕もここの代表の方の著作3冊(会社経営・税務・会計)は座右の書として常にデスクの上に積んでいます。なんせ自宅のデスクは小さいもので・・・。

会計システム導入時に必要になる会計コンサルタント会社のデータ

会計コンサルタント会社と契約している客先に会計システムを導入する際に必ず発生する問題がありますが、僕はこれを3つのアンマッチと勝手に呼んでいます。

  1. 期首残高のアンマッチ:提出後に手元データを修正するとこうなる。
  2. 勘定科目のアンマッチ:月中のデータ入力時にオペレータを悩ませる。
  3. 期首残高が揃うタイミングのアンマッチ:システム導入スケジュールに影響する。

会計コンサルタント会社にデータを提出した後に、社内で迷子Invoiceが発覚する場合、会計コンサルタント会社に対してデータの修正依頼が間に合わずに、社内のInvoiceベースの債権債務残高と会計コンサルタント会社から送られてくるGLの債権債務科目残高が合わなくなり、原因究明に時間がかかります。

また会計コンサルタント会社はインドネシアの会社法に照らして正しい財務諸表を作成することが任務ですので、多くのクライアントを抱える以上、管理負荷を抑えるためにはなるだけ共通の勘定科目を使用するほうがいいわけで、これは仕方のないことだと思います。

ただし手元の勘定科目とのマッピングで不十分である場合、会計入力担当者がグレーな取引をどの勘定に入れたらいいのか分からなくなり、月末に科目別残高の照合が出来なくなり、必然的に締め処理も出来なくなります。

そして前月の締め処理後の確定データが届くのが早くても翌月の20日前後になるため、システム導入プロジェクトを作成する管理者のスケジュール管理が難しくなります。

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