生産管理システムのMRPと生産スケジューラーの違い

システムで所要量展開から発注情報を生成する流れ

生産管理システムでMRPをまわすにあたって最も気を付けるべきことは、基準生産計画(MPS)が重複しないことだと思いますが、そのためにはMRPのためにEDI(Electronic Data Interchange)データとして取り込む「確定受注+内示」全部を毎回洗替できれば一番いいのですが、受注残という実績情報が確定しているためそう簡単にはいきません。

MRP
確定情報を洗替えるわけにはいかないので、受注NOをキーに重複しない確定受注のみを新規追加し、内示分のみ洗替すれば、あとはシステムのMRP機能によって材料在庫や発注残(受入確定量)、安全在庫を加味した今回発注量が計算され、最後にリードタイムを考慮した発注情報を生成します。

このような所要量展開は部品構成表(BOM)に登録されている製造に関する購入品にのみ適用され、それ以外の追加発注などは都度発注として計画外で発注情報を生成します。

所要量展開の議論の中では営業情報、生産情報、購買情報の3つを考慮せねばならず、自分はよくこんがらがるのですが、そんな時は以下の2点を思い出すようにしています。

  1. MRPのために取り込む確定受注は追加し、内示は洗替える。
  2. 手元の現在庫は安全在庫も含めてすべて引き当て、安全在庫は毎回再計算する。

MPSCRMシステム(Customer Relationship Management)やサプライチェーンSCMシステムで仕入先の生産能力・手配能力を考慮する場合は別として、基本的には外部に発注書P/Oという形で発注情報を生成してしまえば、納期どおりに材料が納品されることを前提に社内の生産スケジュールを作成します。

通常のMRP機能の中で、納期遅れして入荷しそうな発注残が受入確定量として時間制約違反を許容して、製造オーダに紐付くのは、MRPが時間軸よりも数量を優先した結果だと思いますが、生産スケジューラーでは購買オーダを納期遅れ分だけ未来にずらしてリスケジュールすることで、自動的に材料の手配状況を考慮して、生産スケジュール全体を右(未来)にずらします。

生産スケジューラーを理解するのが難しい理由

生産スケジューラーが難しい理由の一つは、上記のMRP所要量展開の流れを理解してからでないとスタート地点にも立てない、というこのハードルの高さにあります。

MRPによって上図の基準生産計画(製品の完成日ベースの生産計画)を満たすための、工程別の製造オーダが生成されますが、生産管理システムのマスタではライン能力は標準値を設定し、基本「1品目1ライン」に負荷が山積みされるため、「日付の前倒しか後ろ倒し」または「他ラインへの振替」作業が必要になります。

生産スケジューラーでは「1品目複数ライン」に山積み可能であり、ライン能力は品目に応じて設定することができますが、逆に言うとここまで細かく能力を設定する必要がない、または能力情報を管理していない場合には生産管理システムのMRP機能で十分であると言えます。

生産スケジューラーはライン能力を最大100%の有限能力とし、溢れた場合は空いているラインを狙って自動的に割り付きますが、その割り付き方を制約条件として設定することでコントロールする、という「暴れ馬の調教」のような難しさがあります。

作業と作業の間に隙間があると他のオーダの作業が勝手に割り込んでくるので、これを避けるために前後作業の間隔に制限を設けるなど、生産管理システムでは考慮する必要のない設備の制約条件に苦心することになります。

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