インドネシア国内企業に対する外貨規制の強化

2016/06/19

BCA銀行

通貨危機時の外貨建て債務の為替損による企業連鎖倒産の教訓から、現在は国内企業に対する外貨規制が強化され、金利の安い海外で資金調達して国内で投資するということが難しくなりました。

スナヤン競技場(Gelora Bung Karno)

インドネシアの政治・経済・社会

日本人のインドネシアについてのイメージはバラエティ番組で活躍するデヴィ・スカルノ元大統領夫人の知名度に依存する程度のものから、東南アジア最大の人口を抱える潜在的経済発展が見込める国という認識に変遷しています。

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BCA銀行で口座開設に必要な書類

先日Grand Indonesia地下のBCA銀行で久々に銀行口座開設してきたんですが、昔みたいにKITASだけ持っていけば速攻で口座開いてくれるわけじゃなくて、今仕事している会社とか住んでいるアパートとかについて探るように質問され、軽く面接受けているみたいな雰囲気になってしまいました。

むしろ免許とハンコだけで(今はマイナンバーもかな?)口座開設できる日本よりも厳しいのではないでしょうか?

必要書類は以下の3点。

  1. KTP(Kartu Tanda Penduduk) :外国人なら通常はKITAS(Kartu Izin Tinggal Sementara)
  2. Domisili :所在地証明書
  3. NPWP(Nomor Pokok Wajib Pajak):納税者番号

カスタマーサービスのお姉さんから、ちょうど今月KITASが切れる点を指摘され、NPWPも持っていなかったので、少し困った顔をされましたが

  • 来月電話するからちゃんと持ってきてよねー

という軽いノリでパスしてくれたのはさすがインドネシア、この寛容さが好きです。

これ以外に6,000ルピアのMatrai(収入印紙)と初回の最低預け入れ額50万ルピアが必要で、申請フォーム数枚に名前とかサインを記載する必要がありますが、カスタマーサービスのお姉さんが親切に指示してくれるので楽チン。毎回思いますがBCAの女性スタッフは、フレンドリーかつウィットに富んだ対応をしてくるので会話して楽しいです。

最後にスマホにネットバンキングのアプリをインストールさせられてすべて完了、と思いきや間髪入れずアンケート用紙を渡されて

  • これExcellentにチェックしてくれたら、私すごくHappyだわー

と甘えた声でお願いされたのには苦笑しましたが、ご希望どおりExcellentにつけてあげました。

同日に今度はTharin通りのCIMB Niaga銀行でキャッシュカードのアップグレードをしてきたんですが、こちらは予想どおりクレジットカードと生命保険の勧誘の嵐を断るのに一苦労。

このあたりは2015年のNet Profitがyear on year(前年比)で業界3位のBCAは9.3%アップ、業界5位のCIMB Niagaは81%ダウンという懐事情が影響しているものと思われますが、定期預金の金利はCIMB Niagaは6.5%(1ヶ月)でBCAの4.75%(1ヶ月)に比べて既に高いにもかかわらず、さらに3年もの固定レート8%を提示されたのにはさすがに心が揺らぎます。なかなかやるなーCIMB Niaga。

マイナス金利時代に突入した日本からするとうらやましい話かもしれませんが、ルピア持ち在住者ならともかく、ルピアの為替リスクが高すぎるので短期的にはとてもお薦めできません。

インドネシア国内企業に対する外貨規制の強化

まあこれだけの高金利を提示できるということは、単純に考えて預けた金利より高い金利で国内企業に貸しているわけであり、そうなると日本をはじめととした海外で低金利で借りて、インドネシア国内に投資しようと誰もが考えると思いますが、ここ数年は国内企業に対する外貨規制が強化されています。

  1. 国内取引は基本ルピアで行なう。
  2. 外貨建てオフショア債務(海外からの外貨借入)へのヘッジ義務

「外貨建て流動資産-外貨建て流動負債」の20%を、コストのかかるデリバティブ(為替先物・通貨スワップ・オプション取引)でリスクヘッジしろ、というのは要は「金利政策に支障が出るから民間が勝手に海外から金を借りてくれるな」と言っているようなもんです。

ジャカルタやチカランに続々と建設中のビルや開発中のスーパーブロックを見ると、国の経済発展をの過程をライブで見ているようで、外国人である自分でもテンション上がりますが、一方で数年後に「あの景気の勢いはなんだったんだろう」とならなければいいなあと思うのは、日本のバブルの経緯を見ているからかもしれません。

ここぞとばかりクレジットの限度額増やしませんか、という勧誘電話がかかってくるのは、この先どうなるか判らない不安定な景気動向の中で、給料がどんどん上がって気分が高揚している今のうちにじゃんじゃん消費させようという駆け込み供給なのかどうかは定かではありませんが、断食期間中のお昼のKota Kasablankaモールは今日も大盛況でした。