オンライン化が進むほどオフラインでの差別化が可能になる

マグレ当たりが長く続かない理由

かつてバリ島からバティックサロン(腰巻)布とイカット布を大量に日本に輸出していたことがありますが、当時日本ではインドネシアでの仕入相場も知られておらず、原価の4~5倍のこちらの言い値で飛ぶように売れていました。

別に何か確信があってバティックサロンに目をつけたわけではなく、たまたま身近で手に入るバティックやイカットの布を、当時日本最大のアジア雑貨のオンラインショップに提案してみたところ、たまたま先方がかかえていた慢性的な在庫不足というド真ん中のストレートの問題を、こちらの豊富で迅速な供給能力でジャストミートした結果、場外ホームランによって双方が大きな利益を上げることができました。

ただ理由もよく知らないままひたすら取引先の需要を満たすべく、仕入と発送を繰り返していたさなかに、今度はバリ島のクタ近辺でよく売られていたパレオという腰巻用の布の注文をもらい、これもバティックと同じ腰巻だしサイズも同じだし、これまたどんどん売れるだろうと確信して大量に仕入れたところ、その後さっぱり売れず自宅倉庫に在庫の山として眠り続けることになりました。

この失敗の原因を今となって考えてみるとこういうことだと思います。

  1. ジャワ島で製作されるハンドメイドのバティック布と違ってバリ島産のパレオは値段がばれている。
  2. 日本のアジアブームに乗っかるにはデザインがモダン過ぎてエスニック感が足りない。
  3. バティック布の日本での用途がクッションカバーやシャツ縫製やテーブルクロスだったが、パレオは向かない。

要は思いがけず商品がたまたま売れるマグレ当たりが絶対後まで続かないのは、売れた理由が自分でわからないので時代の変化についていけず、次どうやって売るかがわからないからです。

実体験を元にシミュレーションする

話が飛びますが、かつて自分はブルーハーツの音楽が好きすぎて、バリ島にオープンしたブティックのメンズ用別館の名前をBlue Heartsにしたくらいですが、中でもPKO(国連平和維持活動)派遣を揶揄した「すてごま」という名曲があります。

君ちょっといってくれないか
すてごまになってくれないか
いざこざに巻き込まれて
泣いてくれないか

今自分が対象とする顧客層のニーズがどのように変化しているかを分析した上で、それをどうやって調達して(開発して)どうやって売ろうかと考え、何を売るかをニーズに合わせて変化させていく力とは、現有戦力である実体験に基づく「持ち駒」の中から「捨て駒」切る(シュミレーションする)ことにより判断の確度を高めることで養われる力に他なりません。

オンライン化が進みネットでの情報収集が主流になった今、裏付けに乏しい二次情報や三次情報を元に時代の変化を分析しようとする場合、実体験に基づく記憶である「持ち駒」が多いほど、可能なシミュレーションのパターンが増えるという点において、オフラインで差別化していることを意味しています。

ネット社会の発展によりオンラインでの情報収集が主流になりつつある現在では「書を捨てよ町へ出よう(寺山修司)」よりも「ネットを捨てよ町へ出よう」のほうがしっくり来ると思いますが、オンライン情報が氾濫するほど、情報についての判断力の源泉となる実体験に基づく「持ち駒」を増やすために、現場での経験が重要になるのは間違いないと思います。

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