生産スケジューラー用インターフェイスの開発

ここでは生産スケジューラーのサブシステムを例に考えますが、ユーザービリティ向上のために開発するインターフェイスは、大きく分けて既存マスタと追加マスタを統合する入力インターフェイス、バーコードスキャナーやハンディターミナルによる実績収集インターフェイス、製造指図や稼働率予実比較表等のアウトプット用の出力インターフェイスの3種類に分かれます。

生産スケジューラーの提案時には機能的な説明よりも、お客にいかに運用ストーリーを描いてもらえるかが重要になりますが、3つのインターフェイスはインドネシアの製造現場での運用ストーリーを提案する際に非常に有効だと考えます。

生産スケジューラー運用方法の提案

一般的にスケジューラー上でマスタメンテナンスや実績入力を行なうケースは稀であり、通常はスケジューラーで使うマスタデータは生産管理システム側または外部DB上でメンテナンスを行い、随時最新のマスタデータを取り込んでから、リスケジュールにより指図(作業)を生成します。

生産管理システムで製造指図を発行する場合は、生成された指図を製造指図としてインポートしますが、生産管理システムでは実績のみ上げる場合には、外部インターフェイスにて実績を収集し、生産管理システムの計画外生産実績としてインポートします。

生産管理システムまたは外部DB側に蓄積されたデータを加工することで、負荷計算や予実管理に関するレポートを作成できるのですが、これは価格と導入期間の妥当性をインドネシア人担当者に納得させるために、機能の幅を横に拡張しサービスのボリューム感を出す意味があります。

入力インターフェイス

生産管理システムの部品構成表、設備能力、標準負荷・単位数量を統合することにより製造BOMを生成できますが、これらの情報が完全に揃っているケースは稀です。

生産管理システムの設備能力と品目単位の標準負荷を設定する場合、MRPによる山積み計算時の品目とラインは1対1の関係であり、ある品目の代替ライン(主ライン以外)に対する負荷をセットする意味はありません。

  1. ラインの1日のキャパ
    ⇒設備能力(75,600秒/日)または(9,450個/日)または(16時間/日)
  2. ラインでの品目ごとの負荷
    ⇒標準負荷あたりの生産数量(8秒/1個)または(1秒/0.125個)または(2000個/1時間)

つまり生産スケジューラーでも生産管理システムでも、品目とラインの組み合わせごとに設備能力と標準負荷の比率である、品目ごとのサイクルタイムを設定するのは同じです。

ただし生産管理システムでは、MRPで適用される品目とラインの組み合わせは1つに限定されるので、設備能力のメンテナンスはおろそかになりがちであり、生産管理システムのデータをそのままインターフェイスできるケースは少ないと思います。

よって生産管理システムからは品目情報のみをインターフェイスし、設備情報は外部DBで管理することになります。

treeviewBOM

入力インターフェイスでは、親(品目)、子(品目または資源)、指図種別の3つをプライマリキーとして、品目情報(入力指図)と資源情報(使用指図)をマージすることで、生産スケジューラーの製造BOMを生成します。

入力インターフェイスの機能は以下が考えられます。

  1. 生産管理システムのBOMと外部DBの設備情報から製造BOMを生成する機能。
  2. 設備情報等の追加マスタメンテナンス機能。
  3. ツリービューから品目と資源の参照、追加、修正、削除する機能。
  4. ループ箇所チェック機能

WEBベースでツリービュー表示することで、時間のかかるマスタメンテ作業を分業化、見える化し、相互監視の状態に置くことで作業効率を向上させることを目的としています。

実績収集インターフェイス

リアルタイムとは何か?

「生産スケジューラーでリアルタイムに進捗状況を見たい」という要望がある場合、その前にリアルタイムの定義を明確にする必要があります。

リアルタイムの実績収集の例として、シーケンサーでカウントされDBに保存された実績データをインターフェイスを通して取得する、バーコードスキャナで現品票のバーコードをスキャンする、現場端末から記入したばかりの作業日報に基づいて実績入力するなどがあります。

一方で作業日報を翌朝10時までにシステムにまとめて入力する、というのは間違いなくバッチ処理の例ですが、それではバッチ式のスキャナで収集した実績を1時間おきにCSVアップロードすることはリアルタイムなのかバッチなのか微妙なところだと思います。

要はリアルタイムかそうでないかの違いは、物理的にラインで加工が終わったタイミングから実績がシステムに反映されるまでのタイミングまでの時間間隔の差の大小でしかないわけです。

そうだとしたら「リアルタイムの進捗状況」を見て何をしたいのかを明確にした上で最適な方法を決定すべきだと思います。

工程進捗管理を在庫管理に反映させる方法

生産スケジューラーで製造指図単位の工程進捗管理を行い、実績を生産管理システムにインポートすることで在庫に反映させる方法が最もシンプルだと思います。

1.実績は生産管理システムに入力し製造指図に対して実績入力(進捗管理あり)
生産スケジューラーで製造指図を生成⇒生産管理システムのオーダ詳細一覧からCSVインポート⇒リアルタイムに実績収集⇒製造実績を生産スケジューラーにインポート

2.実績は生産管理システムに入力するが実績は品目単位に入力(進捗管理あり)
生産スケジューラーで製造指図を生成⇒生産管理システムのオーダ詳細一覧からCSVインポート⇒リアルタイムに実績収集⇒日・ライン・品目単位の実績を製造指図の日付順に割り振る⇒製造実績を生産スケジューラーにインポート

3.実績は生産管理システムに入力するが実績は品目単位に入力(進捗管理なし)
生産スケジューラーで製造指図を生成⇒生産管理システムのオーダ詳細一覧からCSVインポート⇒リアルタイムに実績収集⇒日・ライン・品目単位の実績を在庫としてインポート

4.実績は生産スケジューラーに入力し生産管理システムにアップロード(進捗管理あり)
生産スケジューラーで製造指図を生成⇒リアルタイムに実績収集⇒生産管理システムの計画外製造実績一括登録からCSVインポート

実績収集インターフェイスに持たせる機能

実績収集インターフェイスに持たせる機能は以下が考えられます。

  1. 製造指図に対して実績入力(進捗管理あり)。
  2. 日・ライン・品目単位の実績を製造指図の日付順に割り振る(進捗管理あり)。
  3. 日・ライン・品目単位の実績を在庫オーダとしてインポート(進捗管理なし)。
  4. 実績をCSV化して生産管理システムにI/Fする機能。
  5. ケーブル式バーコードスキャナで実績入力する機能
  6. バッチ式バーコードスキャナから取得したCSVファイルをインポートする機能。

製造指図に実績を入れる文化がない製造現場に、最初から製造指図に実績を入れてもらうというのは敷居が高いので、最初は品目単位の実績をシステムで製造指図に割り振り、慣れてきたところで指図単位に実績を入れるようソフトランディングさせることで、運用開始の初っ端からから実績収集に手間取り悪印象を持たれることを防止します。

出力インターフェイス

生産スケジューラーで製造指図単位に実績入力を行い、生産スケジューラーでの工程進捗管理を生産管理システムの在庫管理に反映させるために、計画外製造実績としてアップロードする場合、現品票を使ってロット管理を行ないますが、現品票の発行・再発行などの機能を簡単に実行できる出力インターフェイスが必要になります。

ロット分割時の現品票再発行機能

バーコードスキャナでバーコードをスキャンするためには、バーコードが印刷されてある現品票や製造指図の出力が必要になりますが、悩みどころはロット(またはパレット)分割されたときの処理です。

ロット統合の場合は、システム上の2つの製造指図が現場では1つにまとまって動くだけなので、システム上は何もせず現品票も2枚つけたまま流し、実績も別々に入力することができますが、ロット分割の場合は物理的に現品票が2枚必要になるため新たに発行する必要があります。

この分割ロットの現品票の発行方法は、既存ロットの現品票の再発行機能の派生的機能として実装します。つまりロット番号で検索した現品票発行画面に「通常・分割」のラジオボタン設置し、分割が選択されている場合は、再発行の派生処理を実行します。

  1. 数量が空欄、ロット番号(枝番付)・品目・予定開始日・ライン名は通常
  2. 数量が空欄、ロット番号・品目・予定開始日・ライン名は通常
  3. ロット番号と数量は空欄、品目・予定開始日・ライン名は通常
  4. 全くの空伝票を発行し手書きで入力

分割ロットの実績数量は、製造指図単位で実績数量を時系列に更新するか、実績数量(加算)で積み上げます。ロット統合や分割は現場の事情で発生する事案なので、発生の都度システムの製造指図を分割しフィードバックさせるのは工数的に無理なので、計画作成当初の製造指図単位の工程進捗管理と在庫管理を目標とすべきだと思います。

前工程と後工程のロットが異なる場合の現品票の貼り替え

前工程である成形やプレス工程と、後工程であるASSYや溶接ではロットサイズが当然異なるので、現品票の貼り替えが必要になり、品目、ロット別にいつでも発行できるサブシステムの機能が必要になります。但し既発行済みか初回発行かの区別はつくようにしないと、現場に同ロットの現品票が氾濫することになります。

出力レポートの種類

出力インターフェイスにパッケージ化する管理帳票としては以下があれば、プリセールス時に「機能の幅を横に拡張することでサービスのボリューム感を膨らませる」という意味では十分だと思います。

  1. 製造指図または現品票(運用系)
  2. 日別ライン別生産計画差立表(運用系)
  3. ライン別品目別月次生産計画(情報系)
  4. 日別生産予実比較表(情報系)
  5. ライン別稼働率予実比較表(情報系)

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