売上原価と期間原価

インドネシアで業務システム導入の仕事をやっていますが、複数のインドネシア人スタッフはそれぞれが生産管理が得意な人、会計が得意な人、プログラミングが得意な人など個性豊かな面々であり、一緒に長く働いていくにつれて直面する同じ問題に対する本質の掴み方も異なっていることが、いまさらながら判ってきました。

会計のヒアリングするときの勘どころ

なんか固い話になりますが、、、教科書的な定義とは異なるとはいえ、ものごとの「本質」とは「それを理解するための勘どころ」の違いによって定義の仕方が変わるものであり、「本質を掴む」方法も人によって異なると考えます。

実体は同じものでもそれを理解する方法は人によって違っていいでしょうし、その結果として他人の本質の捉え方が自分が考えていた表現の仕方と異なることを知ったとき、それはそれでちょっと感動します。

経理部で日々企業会計の実業務に携わっている方々とは違い、僕の場合は会計システム導入というマイナーな特殊な場面で会計と関わっており、お客さんからヒアリングする経理の実務的な話は「会計とは試算表等式というルールの中での数字の組み換え」であるという、かなりグローバルな定義の中で捨象して考えています。

資産+費用=負債+純資産+収益

が成立するのは、損益法でいうところの費用と収益の差である利益が、財産法でいうところの純資産の増分になる、ということを証明しており、これこそが自分の「なまくら会計知識」の土台になっています。

そしてこの理解なしに売上原価と期間原価の説明はできません。

月初・仕入・月末の3つの勘定を売上原価勘定に振替

買ったときに仕入計上するということは、月中に会計上で資産管理しないということなので、月末に月初在庫と月末在庫を振替えて在庫と会計を同期させる必要があります。

なんせこれやらないとB/Sが作れませんものね。stock

この在庫振替時の相対勘定(費用コントラ勘定)であるOpening stockとClosing stockはP/L科目ですから、最終的に

総収益-総費用=総利益

で総利益は確認できますが、P/L上に

  • 売上-売上原価=売上総利益

を記載するためには三分法にて

  • Opening stock+当月製造原価-Closing stock=売上原価

のように差し引きして、総費用の中の一部を売上原価に振替える必要があり、これはOpening stockとClosing stockと仕入という3つの勘定の残高を0にしてP/L上から抹殺する代わりに、差額を売上原価勘定の残高にするということです。

例えば、購入時に20円を仕入勘定で費用計上したのに1個も売れなかった場合、当然ながら三分法で売上原価は0です。

  • 月初0+仕入20-月末20=売上原価0

もしP/L上に売上原価を記載する必要がなければ、三分法せずして月初在庫と月末在庫を振替えるときの相対勘定Opening stock(借方費用)とClosing stock(貸方費用)の差額で総利益が計算されます。

一方で購入時に資産計上して1個も売れない場合は、製品を売上原価に振替える機会すらないわけですから、当然ながら売上原価は0です。

ただこの場合、既に資産計上しているので在庫と会計が同期しており、月初在庫と月末在庫を振替える必要はありません。

P/Lは月末にしか出力しないという大前提の下で、買った時に費用化するというのは月末に在庫振替が発生することで総利益は計算され、さらに三分法することで売上原価を算出することにより、売った分の費用だけP/L上で明確に別表示できます。

  1. 収益科目合計と費用科目合計の差額が総費用
    総収益-総費用=総利益
  2. 月初在庫と月末在庫をOpeningとClosing勘定で振替
    (総収益+Closing)-(総費用+Opening)=総利益
    ⇒月初在庫と月末在庫の差分は資産の増減へ
  3. 総収益を売上とその他収益に、総費用を仕入とその他費用に分離
    売上-(Opening+仕入-Closing)+(その他収益-その他費用)

販管費と製造原価の費用化するタイミング

販管費は発生月ですべて費用化しますが、製品製造原価は出荷時または月末に、売った分だけ費用化(売上原価化)し、残りは資産として月末在庫になります。

そして月末に費用化する場合、総費用の中で売上原価に振替えて、P/L上で販管費とは分けて管理します。

買ったときに費用化(仕入勘定)して月末に費用コントラであるOpening stockとClosing stockを使って在庫と会計を同期させようが、買ったときに資産化して売った時に費用化(売上原価勘定)しようが、月末のP/L上の総利益は同じになります。

買った時に仕入勘定に計上した場合に、もし売れなかったら月末に行なう月初残と月末残の在庫振替時にその分の在庫が増え売上原価は減るので、結局は売れた時に費用化(売上原価化)する場合とP/L上は同じ売上原価と利益になります。

つまり買ったときに費用化すると月末に売上原価化し、買ったときに資産化すると売ったときに売上原価化するという売上原価になるタイミングの違いでしかないわけです。

いまどきの企業会計で発生した費用をすべて期間原価と考えて、総収益-総費用で計算される総利益だけ判ればオッケー、なんていう会社はないので、売上原価を計算しP/Lを作成する作業は必須です。

入荷時に資産計上して売上のたびに売上原価に振替えるPerpetualな方法だと、月中でも会計上で在庫評価額が把握できるという点で便利ですが、入荷時に費用計上して月末に月初残と月末残を振替える方法では、月中には会計上で在庫評価額は把握できませんが毎月末の実地棚卸の結果を会計に反映させますので、資産が新陳代謝され現物と数字を近づけることができる点で優れています。

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