固定資産管理システムと金型管理システムは償却管理機能を持つ時点で親戚みたいなもの

本記事のポイント

工場の物理的場所をコストの観点から見ると材料が材料倉庫で材料費となり、仕掛品がプラントで製造原価となり、製品が製品倉庫で売上原価になります。

モノは使っても使わなくても劣化するので、これらの費用はそれぞれの場所で劣化(変化)のたびに別の費用に振替えられることがあります。

つまり材料倉庫で材料が劣化すれば材料費が材料棚卸減耗費(販管費)に振替られ、プラントで仕損が発生すれば製造原価が仕損費(製造原価)に振替えられ、製品倉庫で製品が試作品化すれば売上原価が試作費(販管費)に振替えられます。

仕損費と棚卸減耗費

材料の減耗はプラントに投入される前に販管費化し、プラントに投入された時点で製造原価化(直接材料費+加工費)します。

Before : 製造原価=月初仕掛品+当月製造費用(材料費+加工費)- 月末仕掛品
After : 製造原価=月初仕掛品+当月製造費用(材料費+加工費+仕損費)-(他勘定振替+月末仕掛品)

材料費は初工程で投入され、加工費は工程ごとに積み上げられますが、仕損は本来かかっていたはずの当月製造費用(材料費+加工費)を超過して余分にかかった費用なので、材料費でも加工費でもない別の費用に区分したい。これが仕損費でありP/L上では全体の製造費用から他勘定振替を使って差し引く間接法で記載しますが、製造原価内での振替なので製造原価自体に変化はありません。

それでは製品の場合はどうかというと・・・

Before : 売上原価=月初製品+当月製造原価- 月末製品
After : 売上原価=月初製品+当月製造原価-(他勘定振替+月末製品)

試作品は本来残っていたはずの月末製品よりも過少になってしまった製品分を、他勘定振替勘定を通して販管費に振替えるもので、これは売上原価から試作品分を控除しているとも言えます。製品になってしまったら製造原価は確定してしまっているので売上原価から控除するしかないんですね。

仕掛品と建設仮勘定

これは会計の専門家の方にお湯をかけられそうですが、仕掛品も建設仮勘定も同じようなもんであり、乱暴に言えばそれが売り物かそうでないかの違いくらいに認識していればいいと思います。

棚卸資産は材料から仕掛品を経て製品となり売られていきますが、売るためのものではないが材料として購入し仕掛品を経て製品として社内の資産となるものがあり、その代表格が金型ではないでしょうか。

設備はFOB契約によって、日本で船積みされて船上在庫となった時点で建設仮勘定に計上され、インドネシアに到着後、工場に搬入され使用開始された時点(事業の用に供した日)で固定資産化され、耐用年数に基づき減価償却されていきます。

一方で金型は、金型材料を購入し現在面を加工しはじめた時点で建設仮勘定に計上され、金型仕掛品を経て完成品金型化した時点で、固定資産に振替えられ会計上減価償却が始まります。

建設仮勘定は減価償却対象外の資産の一時保管場所みたいなもので便利ですが、あまり不自然に長く滞留していると監査対象になります。

流動資産と固定資産と貯蔵品(消耗品費)を区分する基準

インドネシアでは日本と同様に現金化の可否(1年以内)という基準で流動資産と固定資産に区分され、消費時に費用計上する流動資産を貯蔵品(Supplies)または消耗品費(Supplies Expense)に計上し、通常は生産管理システム上での受払を発生させません。

流動資産

  1. 当座資産(現金・預金)
  2. 棚卸資産(材料・仕掛品・製品)
  3. 繰延資産(研究開発費)

固定資産

  1. 有形固定資産(減価償却累計額を使って間接法で償却)
  2. 無形固定資産(直接法で資産を減額)

貯蔵品

Dr. Supplies(貯蔵品)        Cr. Cash
Dr. Supplies Expense(消耗品費)  Cr. Supplies(貯蔵品)

金型の場合、耐用年数が1年未満であっても取得価額が大きいため固定資産のカテゴリー1に分類されます。ただ取得価額が小さい補助型等は取得時に消耗品費にされることもあれば、金型とひとくくりにされ固定資産として処理する場合もあります。

固定資産ですから間接法でマイナス資産として計上する仕訳を行ないます。つまりB/Sの固定資産の購入金額の下に「いままでいくら償却したか」「いままでいくら損失計上したか」という累計額を記載します。

Dr. Depreciation 10  Cr. Accumulated depreciation 10
(製造間接費)        (マイナス資産)

金型を固定資産計上する方法は2種類あると思います。

  1. 建設仮勘定に計上し事業の用に供した時点で固定資産に振替える
  2. 費用計上し他勘定振替で固定資産に振替える

会計と税務の違い

タイトルの内容から逸脱することばかり書いていますが会社の儲けた金額は企業会計上は利益、税務会計上は所得です。P/Lに計上した交際費が必ずしも経費として落とせる(損金計上する)とは限りませんし、税務会計上は償却済みの車が売却されて企業会計上特別損益に計上される場合もあります。

利益=収益-費用
所得=益金-損金

早々に費用計上して税金を減らしたい、でも費用化が早すぎるとマイナスになるだけなので、できるだけ早く均等に利益が減るように償却したい。一方で税務署は費用化されて利益を圧縮されると徴収できる税金が少なくなるため長い耐用年数を求める。これが会計(経営)と税務が違うということですが、会計と税務を別管理は複雑なので本来は一致させるのが望ましいはずです。

固定資産システムで管理されるのは税務上の会計であり、固定資産に関わる税法によって分類され適切に償却される必要がありますが、一方で金型管理システムで製造現場でのショット実績に基づく償却額を管理することで、償却期間内で発生した廃棄に伴う固定資産廃棄損や売却に伴う雑収入(残存価額)を自動計算できます。

実際の経理部の会計処理では、固定資産管理システムで計算した評価額と、金型管理システムで計算した評価額は別管理されます。

金型管理システムの機能

金型管理システムのコアはは命数管理に基づく償却管理であり、内製金型の場合は完成時、購入金型の場合は入荷時に受け(Good Receive)が発生し、プレスや成形実績に基づくショット実績で払い(Good Issue)が発生し、1ショットあたりの材料単価と標準加工単価をかけて償却額を計算します。

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内製金型の場合、金型材料から仕掛品、完成品になるまでの受払実績を管理し、通常の棚卸資産と同じく、月末締め処理後に原価計算を行います。

完成品金型については金型マスタ上に標準命数・材料単価・標準加工単価を保持し、受払実績(入荷/完成/ショット)を金型受払テーブルに記録し、最新情報を金型在庫テーブルに保持します。

月末に締め処理を行い金型残高テーブル(バランスマスター)に締情報を保持します。償却受払表では金型の残存簿価を翌月の月初残として繰り越します。

受払を管理し、履歴に修正が発生した場合には時系列に洗替で償却再計算をする必要があるところは固定資産管理システムと似ています。