固定資産管理システム導入時に発生する問題と原因

昔、新卒で入社した銀行系システム会社では勘定系と情報系と大きく二分されていましたが、そのクセが抜けないのか未だに僕の頭の中では「業務系システム=勘定系」「WEB系システム=情報系」という構図が出来上がっております。

この分類はあながち間違いとも言えないと思うのですが、この2つの間には独学できるかできないかという大きな違いがあります。

今はネット上に情報が溢れているとはいえ、泥臭い現場臭がプンプンする業務系システムはやはり経験から学ばざるを得ない面があり、よりシステマチックな情報系システムはかなり独学しやすい。

同じITの仕事とはいえ、この2つの世界の間には見えない障壁があり、意識して超えようとしないかぎり超えられないものだと思っています。

実はこのサイトの目的の一つが、その壁を乗り越えるためのハーケンとロープを提供することであり、ネット上での業務系システムの情報の少なさを補填する一助になってくれればという、ちょっと崇高な思いを勝手に持っております。

固定資産管理システムのマスタ

マスタ構成上のERPシステムとの最大の違いは品目マスタがないことであり、固定資産システムの場合、品目コードに該当する固定資産コードは取得のたびに事前に定義されたフォーマットで自動採番され、固定資産を分類し集計するための区分系マスタが重要になります。

以下のマスタは基本的に固定資産コードに対するプロパティであり、固定資産台帳で参照登録されます。

基本区分系マスタ

固定資産の基本的な分類を行なうために、固定資産種別(勘定科目の主科目ベース)や償却方法、償却年数等を元に区分項目をデザインし、固定資産台帳や償却受払の管理項目とします。

集計区分系マスタ

現場の物理的配置に基づいてデザインされることが多く、最もユーザーのこだわりが反映される帳票出力の切り口になるマスタであり、任意に集計単位をデザインします。

固定資産の基本情報系マスタ

固定資産の償却計算に必要な償却方法や償却年数などのマスタや、取得時に必要な取引先マスタがあり、取得の際に自動採番される固定資産コードをキーとして、固定資産台帳に登録します。

仕訳系マスタ

生成する仕訳パターンは固定資産管理システムがもつ科目コードによって決まっており、会計システムで使用する勘定科目とマッピングを行ないます。

配賦率系マスタ

集計区分系マスタに登録した部門や工程、ライン、機械グループ、機械などの間での償却費配賦率を設定します。

予算(プロジェクト)系マスタ

建設仮勘定(Construction in progress)の管理の基本的な考え方は、計上された建設仮勘定のうち固定資産化したのはいくらか、というものですが、それがプロジェクトの予算に対する予実として見たい場合には、事前にプロジェクトごとに予算を設定します。

建設仮勘定は固定資産化してからはじめて償却されますが、予算管理する単位(プロジェクト)をマスタに登録します。

マスタに集計区分が設定できないため帳票出力できない問題

固定資産管理システム導入時に問題が発生するのは、お客の求める集計区分をシステムに設定できないために、必要な単位で集計した帳票が出力できないというものがほとんどだと思います。

分類や集計区分はマスタ項目として、固定資産台帳や償却受払表を集計するためのものでありますが、集計区分によっては固定資産台帳の出力は出来ても区分間での受払に対応していないため、償却受払表が出力できない場合があります。

要はどの分類や集計区分を使えば固定資産台帳の切り分けができて、特にこの集計区分を使えば償却受払表の出力が可能になる、というマスタ項目の意味の理解が重要になります。

マスタ項目の意味が明確になるとInputである取引データ(取得・償却・廃棄・減損・売却・移動など)からどのようなOutput(固定資産リストと償却受払表)が出力できるかが分かります。

例えば生産にかかわる固定資産を分類する場合

  • 部門 ⇒ 工程 ⇒ ライン ⇒ 機械グループ ⇒ 機械

というように階層的に分類して集計するニーズがあれば、マスタの中に償却受払管理のための集計区分の数が十分かどうか確認する必要があります。

製品グループ単位に 減価償却費の管理を行なうというニーズがあれば、固定資産システムが持たない品目マスタという概念を、どのマスタの機能で代替させ、配賦マスタでいかに集計区分ごとに配賦するかというプランを立てる必要があります。

このように固定資産管理システム導入を円滑に進めるためには、マスタの理解が重要であるといえます。

モジュール間インターフェイスの問題

固定資産管理システムの導入の際には、ERPが持つ購買管理や会計とのインターフェイスを考える際に、機能的にカブる部分をどのモジュールに担当させるかという問題が発生します。

固定資産の取得は購買管理システムに入力して債務計上しますが、これを固定資産管理システムにインターフェイスできるのが理想的ですが、SAPのような大規模なERPを導入している会社以外では、二重入力するケースがほとんどです。

固定資産システムから会計システムへの仕訳も、ERPの購買モジュールから購買仕訳が生成される以上、減価償却費仕訳のみに限定されます。

こんな投稿も読まれています