インドネシアのコモド国立公園に近いフローレスのスペシャリティコーヒー

2017/05/29

フローレス(FLORES)

フローレスのンガダ県(Ngada)バジャワ族(Bajawa)の集落の写真です。

Nusa Tenggara Timur(東ヌサ・トゥンガラ州 略称NTT)のコモド国立公園にほど近いフローレス(Flores)のコーヒー は、コーヒー独特の濃厚な香りはそれほど強くないものの、アフターテイストで若干甘いフルーツ系の触感がして、酸味少な目のサラッっとした飲みやすい風味があります。

東ヌサ・トゥンガラ州の西部に位置するフローレス島

島嶼国であるインドネシアは、国家の下にProvinsi(州)、県(Kabupaten)、市(Kota)という地方行政区分がなされ、その中でもバリ州と西パプア州の間に連なる島々は、ロンボク島とスンバワ島で構成されるNusa Tenggara Barat(西ヌサ・トゥンガラ州 略称NTB)と、フローレス島とスンバ島と西チモール(Timor Barat)から構成されるNusa Tenggara Timur(東ヌサ・トゥンガラ州 略称NTT)に分かれます。

私にとって1998年頃に読んだ「インドネシア全二十七州の旅」という本の印象が強かったため、長い間インドネシアの州(Provinsi)の数は27州と思い込んでいたのですが、1999年の法律改正にともなうOtonomi daerah(地方分権)の推進によって、1999年に北マルク、2000年にバンテン州(西ジャワ)、2012年に北カリマンタン州などが分離され州行政府の管轄となり、2022年現在のところ38州にまで増えています。

そしてフローレス島のラブアンバジョ(Labuan Bajo)は、『世界の果てまでイッテQ!』の珍獣ハンター企画ですっかり有名になったコモドオオトカゲの保護地である、コモド国立公園への船でのアクセスの中継地であり、空港自体も通称コモド空港と呼ばれています。

日本人にとっても人気の観光地となったコモド島では、コモドオオトカゲの保護や自然文化破壊の防止を目的として、一時閉鎖や会員制の導入、観光税の値上げ等の議論が続いていますが、観光税によるオーバーツーリズムや観光公害の抑制は、世界的な潮流であるため観光客が甘んじて受け入れざるをえないのは仕方のないことかもしれません。

私はかつてバリ島の自宅水槽で、アロワナや淡水エイの混泳をしていたことがあり、デンパサールのPasar Burung(鳥市場)に頻繁にアロワナの餌用の蛙やコオロギを買いに通っていたのですが、密猟者とコネがある生餌を売るおじさんから頻繁に、kucing hutan(山ネコ)やburung hantu(フクロウ)などの飼育が禁止されている動物を買わないかと勧められ、極めつけは体長80cmくらいのコモドオオトカゲの子供をチラ見せされたときは、さすがに捕まったらただじゃ済まないと思いました。

コモドオオトカゲ自体はコモド島まで行かなくても、南ジャカルタのラグナン(Ragunan)動物園で見ることができるのですが、昼間はだいた寝ており、起きていたとしても石像並みに微動だにしないので面白くないです。

フローレス島のコーヒーは香り高くクセのない飲みやすさが魅力

フローレス産のアラビカコーヒーのアロマ(粉の香りと液体の香り)は、第一印象ではアチェ・ガヨのフローラルな香りに似ており、コーヒー独特の濃厚な香りはそれほど強くなく、アフターテイスト(液体を口に含んだ後の感触)で若干甘いフルーツ系の触感がして、酸味は少な目のサラッっとした飲みやすい風味があります。

風味の傾向

  1. 香り ★★
  2. 苦み ★
  3. 酸み ★
  4. コク ★★
  5. 甘み ★★

2017年時点で、個人的にジャカルタで一番美味いコーヒーは、西ジャカルタの裏寂れたSeason Cityモール横にあるKedai Kopi AcehのSolok産かAceh Gayo産だと思っているのですが、ここではフローレスのロブスタをマニュアルブリューで飲むことができ、ロブスタらしいかなり強烈なビターテイストはチョコレートを食べながら飲むくらいが丁度いいかと思います。

近年インドネシア国内の消費者購買力が向上し、本格的なスペシャリティコーヒーを提供するカフェが増えていますが、スペシャリティコーヒーのカッピングの目的は「そのコーヒーが産地の風味の傾向を明確に表しているかかどうか」を評価することであり、コーヒーの甘味、酸味、苦味、余韻などの品質の良し悪しを客観的に総合的に判断する評価基準として有名なSCAA(Specialty Coffee Association of America)の採点基準では、以下の基準に基づいて100点満点で評価します。

  1. Fragrance / Aroma(飲む前のコーヒーの粉と液体の香り)
  2. Flavor(コーヒーが口と鼻で感じられる風味)
  3. After Taste(コーヒーを口に含んだ後の余韻)
  4. Acidity(コーヒーの酸味)
  5. Body(コーヒーを口の中で感じるコク)
  6. Uniformity(味の統一性)
  7. Balance(FlavorとAcidityとBodyのバランス)
  8. Clean Cup(雑味の少なさ)
  9. Sweetness(甘さ)
  10. Overall(総合評価)

インドネシアの他のコーヒー産地と同様、フローレス島も2024年1月に噴火したばかりのレウォトビ山や、三色の火口湖で有名なクリムトゥ山など、成層火山(噴火が繰り返され溶岩の流出と火山砕屑物が積み重なっ てできた大型の円錐形火山)の度重なる噴火活動による火山灰が堆積して形成された、保水性と通気性の良い火山灰土壌がコーヒー栽培に適しているわけです。