IoTによるモノとソフトの見える化・共有化・体系化

IoT(Internet Of Things)を一言で説明すると「今までネットに繋がっていなかったデバイスがネットに繋がる」ということであり、まず第一に情報を取得するためにネットに繋げてしまえば、WEBというブラウザのみで「簡単にアクセスできる環境」に情報を乗せることができ、「簡単にアクセスできる環境」の構築によって、情報は見える化・共有化・体系化されることで大きな付加価値を生み出します。

僕自身、この見える化、共有化、体系化、というのが情報の質を測る指標だと考えており、システム化とはこの3つを実現することであり、そのためにITの仕事をやっていると言っても過言ではないわけです。

IoTでハードからの情報共有化

10年ほど前、「いつでもどこでも、利用者が意識する事無く、コンピューターやネットワークなどを利用できる社会」としてユビキタス社会(ubiquitous)という言葉が流りましたが、ここ最近これがIoTと言葉を変えて現実のデバイス等に実装されるようになり、インドネシアでもちらほら身近な事例が見られるようになりました。

CCTVのインターネット配信

通常は社外からは社内のLANへのアクセスすらできませんが、DDNS (Dynamic Domain Name System)サービスを利用することで、社内LANの入り口にあるルータに対してプロバイダーから動的に付与されるグローバルIPアドレスを、固定のドメイン名にマッピングしてくれます。

CCTV

今回のCibitungのMM2100にある製造業様の事例では、CCTVに接続されたDVR(Digital Video Recorder)からの出力ポート5400を開放し、インターネットを通じて動画を見るというものですが、edns.bizというドメインのサブドメインを、Mikrotikルーターに動的に割り当てられるグローバルIPアドレスにマッピングしています。

クライアントのブラウザにはアドオンとしてFlashプレーヤーが必要ですが、僕のAndroidスマホSony Z UltraのChromeはFlash非対応でCCTVの動画が再生できないので、世界最速と言われるフラッシュ&アドブロック対応無料Androidブラウザーであるドルフィン(Dolphin Browser)を使っています。

「艦これ」とかのフラッシュゲームやるには便利な神ブラウザーですが、ドルフィンにはスパイウェア埋め込み疑惑が話題になったことがありますので自己責任でお願いします。

ウェアラブルデバイス(スマートウォッチ)による着信確認・バロメーター収集

最近インドネシアでもHuaweiウォッチやモトローラのMoto360やASUSのZenWatchが、ガジェット屋の店頭に並ぶようになりましたが、数万円もの大金はたいてまで買うか、と言われればたぶん買わないと思います。
Smart watchそういう方にお勧めなのが格安のいわゆる中華スマートウォッチであり、僕は先日lazada.co.idで96,000ルピアのU8ウォッチを買いましたが結構いろいろ楽しめます。

一番やりたかったのが電話やLINEの着信を手元のバイブレーションで感知できることだったのですが、今現在までバイブレーションが全く機能しないという残念な状態です。

まあ96,000ルピアの時計に多くは求めるのが間違いであり、プラスの側面だけ見ていけば十分幸せになれます。

まず手元で着信の確認ができるということは、スマホを開くほどの重要なメッセージかどうかの選別ができますので、着信の都度時間にして数秒時間を節約でき、これが1日に10回、365日積み重なれば年間通して結構な時間の節約になります。

空気清浄機で室内空気の状態をスマホからリモートチェック

先日ダイソンの掃除機を6jutaで買ったのですが、高いだけあって吸引力が強く、リチウム電池搭載で電源ケーブルがないので、小回りが効いて掃除の頻度が増えました。

Dyson

グランドインドネシアのダイソンのPameran(展示ブース)で買ったのですが、掃除機以外に今ダイソンが一押しで売り出し中なのが、羽のない空気清浄扇風機「pure cool link」で、これがスマホに接続して室内・屋外のPM2.5やPM0.1の濃度を計測表示してくれるIoT製品です。

夕方帰宅前に会社からスマホで部屋の空気の状態をチェックして、部屋に到着してドアを開けた瞬間からすがすがしい気分になれる、という使い方も考えられますが、やはり今自分が吸っている空気がどれくら汚れているのか、という空気の質を見える化することによる安心感は大きいと思います。

我が家はシャープのプラズマクラスターを新調したばかりなので、この空気清浄機は買わないのですが、このダイソンというイギリスの会社はストーリー性のある革新的な商品を次々と出してきます。

IoTの定義・目的・効果

IoTの一般的な定義は、PC・スマホはもちろん、それ以外のデバイスからも情報を取得してネット環境に置く、ということであり、インドネシアで見られる事例としてCCTVカメラ・腕時計・空気清浄機を挙げました。

そしてIoTによって取得した情報は、2次加工して付加価値がついて生活に役立ってこそ意味があり、例えばスマートウォッチの万歩計の機能で歩数記録表を作成したり、心拍数との関連を推移表にしてみたり、ダイソンの空気清浄機が感知する屋外のPM2.5や室内のPM0.1の状態遷移表を作成するなどです。

そしてIoTによって収集された情報は、インターネット(WEB環境)というブラウザで手軽にアクセスできる場所に置かれることで、情報の見える化と共有化を実現します。

IoTはInternet of thingsの略ですが、データは必ずしも外部公開する必要はなく、重要なことは情報にブラウザから手軽にアクセスできることです。

業務データの見える化・共有化(データの社内利用)

IoTの本来の意味である、これまでネットに繋がっていなかったデバイスからの情報が、WEB環境に収集される実例を見てきましたが、ここで重要なのはネットに繋がること自体ではなく、その後にある情報の見える化・共有化の実現です。

ここではハードではなくソフトの情報をWEB環境において、付加価値を付けていく事例を見ていきたいと思います。

WEBベースのマスタメンテナンス・実績収集

生産スケジューラーAsprovaは、客先からの内示情報や確定オーダーに基づいてMRP(Material Requirement Planning資材所要量計画またはManufacturing Resource Planning製造資源計画)計算を行い、製造オーダーと購買オーダーを生成し、設備能力を考慮しながら最適な生産スケジュールと購買スケジュールを作成するAPS(Advanced Planning and Scheduling)です。

AsprovaAsprovaで生産スケジュールを作成するには、生産管理システムやExcelから、内示や確定受注などの所要情報、在庫情報、受注残や発注残などを取り込む必要がありますが、これらの情報は購買部門、生産管理部門、営業部門ごとに入力され、マスタのメンテナンスが行なわれます。

Asprova導入の最大のメリットは、部門や工程ごとに分断された情報が一気通貫で見通しがよくなることであり、これによって部分最適化ではなく全体最適化のための対策が立てやすくなるのですが、実運用において情報の入力も出力も専任の担当者によって行なわれます。

この情報の入力と出力をWEB環境に置くことで見える化・共有化を実現しようとしたのが上図の金型製造工場の事例です。

AsprovaのBOMや設備情報はジャカルタのIT室からメンテナンスを行い、生産計画に対する実績はチビトゥンMM2100の製造現場から行なうことができるのは、Asprovaのデータがすべてサーバーのデータベース上で管理されており、WEBを通じてアクセスする環境が整っているからです。

場所や端末を選ばない仕組みの功罪

interface業務システムから蓄積された情報の参照や、実績の入力作業がブラウザ上から行なえるということは、これらの作業が

  1. 端末を選ばない(PC・タブレット・スマホ)
  2. 場所を選ばない(社内外・国内外問わず)

ということを意味し、これによって情報の「見える化」と「共有化」が促進されます。

「見える化」の目的は、情報の開示(ディスクロージャー)により信頼関係を構築することであり、「共有化」の目的は、情報をお互いの共通認識として土俵に乗せて改善への取り組みを行なうことです。

一方で場所や端末を選ばない仕組みには、内部外部からのデータ不正アクセスの問題、情報が共有されることで責任の所在が不明確になる、というリスクがあります。

CCのあて先がやたらと多いメールを僕は信用しません。

業務データの体系化(外部への発信)

業務フローが標準化され属人的な作業が減ることにより、業務データが正確であることが当たり前という時代になると、組織の内部に蓄積された情報に付加価値をつける方法は、情報を体系化して有益な情報として発信することで外部(潜在的顧客)から付加価値を得る以外になく、そのため仕組み作りが重要になります。

業務システム情報の体系化

少し前にオックスフォード大学認定の「今後10年で消える職業」リストが話題になりましたが、この中に業務システムに関連する職種として給与・福利厚生担当者、データ入力作業員、簿記・会計・監査の事務員がありました。
Information業務システムへの入力作業は、3次元の事象を2次元のデータに転記することであり、IoT化によりハードから正確な実績がリアルタイムで収集されるようになると、人間による実績入力作業がなくなります。

またIFRS主義による完全時価会計主義が徹底され会計基準がIFRS基準1本になれば、インドネシア国内用会計基準や日本本社提出用会計基準など分けて管理することができなくなり、属人的作業がなくなることで会計業務の自動化が一気に進む可能性があります。

そしてこの先には、システム化が進むと人間にとって蓄積されたデータをいかに活用するかが重要だ、と言うお決まりの流れになるのですが、これは既に20年前から言われてきたことがより現実的になっただけの話です。

入出庫実績WEB配信(税関用)

custom業務システムのデータを外部に発信する事例として、保税工場に対してインドネシアの税関が求める在庫受払情報のWEB公開システムがあります。

社内で稼動する業務システムのデータはサーバーのPostgres DBに格納されていますが、サーバー上に常駐する自動更新プログラムが4時間置きに、プロバイダーのMySQLサーバー宛てに更新クエリーを流します。

社内で見える化・共有化された情報が新たな付加価値を生むためには、情報がさらに体系化され、外部の潜在的顧客に対する販売促進に寄与したり、税関などの関係機関からの要請に応えるという目的を達成することで実現されます。

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