IFRSとシステム対応

前回、JSOXが求める内部統制とITコンプライアンスの関係を俯瞰したが、今回はJSOXとは別のもう一つの流れ、IFRSとシステム対応について考察する。システム導入のトレンドとしてJSOXとIFRSに気を配るのはもはや必然の流れである。

収益費用アプローチ

日本の会計基準はP/L(損益計算書)重視であり、これは高度成長期の右肩上がりの経済を前提とし、当期の期間損益だけで容易に将来予測が立てられたことに起因している。要はP/Lを作成した後に次期以降の収益・費用の源泉となる資産・負債・資本項目を補足的にB/S(貸借対照表)として計上する発想となっており、B/S項目を検証・再評価して実情にあったものにして報告する、というより税法上の評価額をそのまま会計上の評価額として、償却が完了する時点で特別損益で処理するという傾向が強い。

 

資産負債アプローチ

一方でIFRSの会計基準は、投資家や債権者に対して企業価値評価のために必要とする情報を提供することを目的としており、そのためには固定資産の減損・再評価、売却可能な金融資産などを時価評価してB/Sを正確に作成するというB/S重視であり、将来的にキャッシュフローを生み出せる資産状況にあるかどうかが分かるようにする。連結ではIFRSに基づく財務報告が必須になる一方で、税務については引き続き各国独自の基準で財務報告を作成する必要がある。

システムのIFRS対応とは?

システム修正で対応するケースと、オペレーション変更で対応するケースの2つに分かれるが、システム導入時にお客様に提案している事項はおおよそ以下のとおりである。

  1. 実現主義での売上計上
    出荷基準(発生主義)による売上計上している場合には、顧客が検収したタイミングInvoiceを発行しA/Rと売上を計上したほうがよい。
  2. 在庫評価方法の統一連結会社内で在庫評価方法を統一する必要があるので、日本本社の方式にあわせるほうがよい。IFRSで認められている先入先出法、移動平均法、標準原価法(標準単価法)、総平均法で行い、後入先出法は認められない。
  3. 実在庫と経理在庫の別管理月末棚卸によって売上原価を確定する場合がほとんどだが、月中の在庫と会計のアンマッチを補助帳票で未実現売上分の資産として管理する。
  4. 有形固定資産の再評価有形固定資産には税法基準を会計上も採用するのではなく、事業年度ごとに再評価し減価償却方法や耐用年数を見直す。
  5. キャッシュフロー計算書(直接法)インドネシアではキャッシュフロー計算書は必須ではなく作成しない場合が多いが、名目上これが必要になる。
  6. 複数基準元帳税務は各国独自基準のままでも連結財務諸表はIFRS対応(B/S重視)で行う。会計上は投資家・債権者に対してIFRS対応が義務付けられるが、税務署がこれに対応できるとは限らない。だから会計システムで複数基準元帳機能を実装していることが理想である。具体的には会計仕訳データを分別管理し、出力時に合算有無を任意に選択できることである。

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