バリ島は非日常か日常の延長上か

ジャカルタはビジネス都市なので主に国内需要に応じて都市の景観や都市機能も変化しますが、国際的観光地であるバリ島も、実際のところ国内旅行者の数が去年は690万人以上あり、海外からの旅行者370万人に比べても圧倒的に多いです。

日本人がバリ島に求めるものはスパやマッサージなどの癒しであったり、マリンスポーツであったりしますが、一番大きいのは日本と違う異文化の雰囲気を楽しむことであり、一言で言うと「非日常」だと思うのです。日本人は基本無宗教ですから、ヒンドゥーという宗教信仰があるということ自体が大きなカルチャーギャップであるわけです。その土地の文化は宗教を大きく反映しますからね。

一方でジャカルタのインドネシア人がバリ島に求めるものも基本は同じ路線上にありますが、インドネシア人は必ずイスラム教かキリスト教(クリスチャンまたはカトリック)か仏教かヒンドゥー教のどれかを信仰する義務がありますので、カルチャーギャップは日本人ほど大きくない。言葉も共通語のインドネシア語が通じますので、ジャカルタの人間にとってバリ島は「日常の延長上にあるオアシス」という位置づけです。

その人にとって「非日常」か「日常の延長上のオアシス」のどちらかを判別する指標としてはスマホを使う頻度を見ると判りやすいです。ジャカルタからの旅行者にとってバリ島は「日常の延長上のオアシス」ですので、ホテルの朝食中にスマホでメールの返信をすることに対して「せっかくバリ島に来ているのにスマホばっかり触らなくてもいいのに」と咎めるのはナンセンスなわけです。

ジャカルタの旅行者がバリ島に対して「癒し」を求めていたとしても、日本人が求めるような気合の入った「癒し」ではなく、その3歩手前くらいのゆるいレベルの「癒し」ですから旅行の楽しみ方自体が違って当然です。

で、外国人旅行者の主流はオーストラリア人と中国人であり、日本人旅行者はかつて30万人を超えていた2007年頃に比べて20万人前後にまで落ちてしまいました。バリ島全体の観光客は増えていますので、バリ島の問題というより日本の国内事情が影響していると思います。今回も日本人観光客かと思いきや聞こえてくるのは中国語、という場面が何度もありました。

日本人のバリ島旅行者がピーク時の3割、4割減まで落ち込んでいる原因ですが、日本人がバリ島に飽きてしまったからとか、国内景気が停滞して旅行に行く余裕がなくなったとか、長い休みが取りにくくなったので近場の台湾や中国にシフトしたから、とかいろいろな説がありますが、僕の勝手な推測ではここ数年のイスラム過激派による中東やアフリカでのテロの影響でより安全志向が働いているからではないでしょうか?

「連休はハワイに行く」と言っても誰も心配しませんが「バリ島に行く」と言えば、世界的な観光地であるとはいえ「インドネシア、治安は大丈夫なの?」という心配がどこかで聞こえてきそうです。バリ島とはいえ、やはりインドネシアと言えばイスラムのイメージがありますし。。。

直行便が少なすぎるからという説もありますが、行く人が少ないので結果として直行便がガルーダのみになった、というのが自然かと思います。

かつてバイパスにあった家具屋のギャラリーなどが消え随分と空き地や空家が目に付きましたが、これはバリ島が不景気ということではなく、スクラップアンドビルドの変化の過程であり、新しく建てられる建物はモダンで規模が大きいものが多く、これからのバリ島は「神々の棲む島」という神秘性よりもハワイのように一ランク上のリゾート地へ脱皮していくのかもしれません。

古いものが新しいものへと形を変えていくのが時代というものですから、「昔ながらの古き良きバリ島が失われていく」という面もあるにせよ、観光地という性格上旅行者の需要に応じて変化していく、これが時代が求めるニーズだと考えるのが自然かと思います。

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