実績によって後工程の計画数量を調整するスケジューラーの機能

受注に基づく計画に対して製造し実績を上げないと、現場が独自の裁量で生産を行い、営業と製造が分断されてしまう、ということをバリ島での家具製作の実体験に基づいて力説したことがありますが(計画と実績をリンクさせる製造指図の必要性)、この場合に発生する予実の差異の扱い方はいろいろあります。

バリ島での家具製作のような受注生産では、差異分をシッピング前になんとしてでも製作して受注数量を満たす必要がありますが、受注に基づいて作成した繰り返し生産の計画(オーダーのカタマリ)に対する遅れは、必ずしもオーダー(指図)単位で挽回する必要はなく、遅れのまま完了させて後ろのオーダーで救援させることもあります。

計画は川上から実績は川下から

MRPとスケジューラーの違いといえば、無限能力山積みと有限能力山崩しの違いが有名ですが、計画に対する実績の差異の扱いという点で見た場合、MRPは基準生産計画の数量ありきで、製造オーダーの数量は基準生産計画の数量を満たすように決まるのに対して、スケジューラーは実績に合わせて後工程のオーダー数量を自動調整する機能があります。

MRPは「プッシュ式」と言われるように、大元になる製品の完成日ベースの基準生産計画が前提条件であり、実績に応じた計画数量の事後調整は効きませんが、スケジューラーは事後の実績に合わせて計画数量を自動調整することが可能です。これは川上(受注)から生成された製造オーダー数量を、川下(初工程)から実績入力することで上書きしていくと言えます。

これが可能な理由は2つあります。

スケジューラーには所要(MPS)に対するオーダーの生成(自動補充)の仕方を、MRPのようなロットまとめで生成する方法以外に、受注からの紐付きを維持したままオーダーを生成する製番管理のMRP機能があるからです。オーダーが1対1に紐付くことにより、実績数量により後工程の計画数量を調整します。これは仕掛品に1対1の自動補充設定した場合に機能します。

もう一つの理由はスケジューラーの実績は作業単位に入れられますが、すべての作業は数量固定レベルを持っており(実績の入力・修正が作業とオーダのステータスに与える影響)、実績の入った数量固定レベルの高い作業が、同一オーダー内の前後作業の数量を決めます。これはマスタの構成を1製品複数工程(1オーダー複数作業)にした場合に機能します。

1対1紐付けとロットまとめの矛盾

スケジューラーのマスタの作り方は大きく以下の2種類に分かれます。

  1. 1品目1工程(1オーダー1作業)
  2. 1品目複数工程(1オーダー複数作業)

生産管理システムでは実績を入れるのはオーダー(製造指図)単位であり、スケジューラーでもオーダー単位に実績を入れられますが、通常は工程展開した作業単位です。ただしマスタを1品目1工程に設定すると1オーダー1作業が生成されますので、結果的に両者の実績入力単位は同じになります。

仕掛品の在庫を加味するか否かは、仕掛品の自動補充設定の有無(在庫引当の有無)によるのであって、マスタの作り方とは無関係です。

ただ前工程の作業に対する実績を後工程の計画数量に反映させるには、マスタが1品目複数工程で同一オーダの中で作業が紐付いている場合か、もしくはマスタが1品目1工程で自動補充が1対1の場合です。

自動補充が1対Nの場合は前工程の計画数量を満たすように、後工程の別のオーダと紐付くため、実績で計画数量を上書きすることはできません。

前工程の実績数量を後工程の計画数量に反映させるわけですから、フォワードの計画作成時にのみ有効です。

Auto Replenishment

1対1に紐付けるということは前後どちらかの工程のロットサイズに合わせるということであり、この場合ロットサイズの設定が無効化されます。仕掛品に異なるロットサイズを設定すると必ず1対Nに紐付かざるを得ず、この場合実績数量で前後工程を修正するという考え方が成立しません。

予実差異を後工程の計画数量に反映させるには、オーダーが他の受注に紐付くオーダーと紐付かないことが前提になります。

まとめ

実績数量で後工程の計画数量を上書きするためには、マスタの設定が1製品対N工程になっており、実績が同一オーダー内の作業に対して入ることが前提です。

オーダーが1対1に紐付く場合にロットまとめが無効になるのは、工程ごとにロットサイズが異なると、オーダーの紐付きが1対Nにならざるを得ないという単純な理由です。

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