インドネシアの日系製造業が使いやすい生産管理システム

インドネシアの日系製造業で導入されている生産管理システムは、工程での投入実績と出来高の入力による在庫管理が目的である場合が多く、内示や受注に基づく生産計画のシステム化は遅れているのが現状です。

工場の生産管理業務は、業務を継続的に改善することを目的としたPDCAサイクルに沿って行なわれ、これを生産管理システムで行なう場合には、機能が細分かされたいろんなモジュールが登場するのですが、統合システムの場合は販購買システムや会計システムなどとの連動の中で動くため、運用のポイントやボトルネックがぼやけがちになります。

PDCAから見た生産管理システム

日系製造業の場合、工場立ち上げ当初から日本主導でPDCAを意識した現場マネジメントを目指し、運用指針もドキュメント化されていることが多いのですが、おおらかなインドネシアの風土にPDCAを根付かせるために、日本からの現場駐在員が並々ならぬ努力をされています。

Plan(計画):実績や予測をもとに業務計画を作成

販売管理モジュールとMPSモジュールの場合、内示や受注に基づいて作成される生産計画は、月別に何を何個製造するかと言うような大日程計画、週別に何を何個製造するかと言う中日程計画、日毎に何を何個製造するかと言う小日程計画へとブレイクダウンされていきます。

MRPモジュールとスケジューラーの場合、受注に対して必要な製造オーダを材料在庫に紐付け、購買オーダの発注残と不足分の新規購買オーダに紐付く製造オーダを納期順に計画し、これを納期遅れと資源キャパオーバーが起きないように稼働率100%をキープするよう実現するのが理想です。

インドネシアの製造現場で発生する大きな問題の一つが材料在庫ショートと調達の不確実性によるライン停止です。

材料の入荷数量(需要)と投入数量(供給)の推移、中間品の製造数量(供給)と投入数量(需要)の推移、製品の製造数量(供給)と出荷数量(需要)の推移から、出荷計画(MPS)に対して在庫MINを下回らないような製造計画または購買計画を立案します(PSI管理)。

Do(実行):計画に沿って業務を実施

まずは現場レベルで計画に沿うよう実績を上げる努力をすることが第一で、作成した生産計画に対して予定どおり生産が進んでいるかどうかの進捗管理を常に行い、計画数量に満たなかった不足分の計画を組み直す(リスケジュールする)ことは予実差異を許容することになるので安易には行うべきではありません。

production

生産状況を把握するためには、実行管理システム(Manufacturing Execution System)で製造実績を収集し、リスケジュール時にバッチで計画に反映するか、またはPOP生産時点管理システム(Point of Production)でリアルタイムに予実を把握していく方法があります。

Check(評価)とAct(改善):予実のチェックと改善

計画より遅れている場合は、その原因を調査し対策を打つ必要がありますが、仮に材料入荷が遅れている場合は仕入先に催促し、NGが頻発するようなら原因をチェックし、オペレーターが不足している場合はOvertimeを申請するのが普通です。

ただし計画に沿うよう実績をあげる運用努力をしたにもかかわらず、生産予定を達成できない場合にはじめて、不本意ながら生産計画そのものを変更(リスケジュール)します。

インドネシアの生産管理システムの現状

インドネシアで生産管理システムを導入しているという会社は多いが、実際に使われている具体的な機能は各工程でのInputとOutputを入力させ在庫管理の数量に反映させる工程実績入力が多いです。

インドネシアの製造業向けシステムを在庫管理という面から見た場合には以下の3つのレベルに分かれます。

  1. 自動出庫させず在庫管理システムの入出庫(Move inとMove out)で行う
  2. 自動出庫をシングルレベル(工程間リンクなし)の対応表(Master Flow)で行う
  3. 自動出庫をマルチレベルのBOMで行う

MRPがなければ工程ごとにシングルレベルの入出力品目の対応表(Master Flow)で十分ですが、MRPで所要量計算を行う場合はマルチレベルのBOMが必要、つまりマルチレベルでの自動補充機能が必要となります。

このように工程実績入力は処理フローが他のシステムと似ているため、インドネシアのローカル導入業者やシステム部門の社内SEにとって、FoxproやVBで開発しやすい部分なのだと思います。

ところが生産計画(Production Planning)や原価管理(Production Costing)になると、まず何をやるのか内容自体が難しいし、何よりもERPの他のモジュールがトリガー(業務フロー上の起点)になったりするため、システム上の機能をぼやけたものにしているのだと思います。

在庫管理と生産管理の違い

通常ERPを提案する場合、まずはAccountingとDistribution(Operation)をキッチリと動かしてから、Productionの導入を始めましょうと言うのですが、現段階で生産管理システムは導入されていなくとも、在庫管理システムからの入出庫で工程実績入力できているという場合は「生産管理システムがあると何が違うの?」という話になります。

この場合、工程実績管理においてBOMを用いて工程投入資材の自動引き落としができるようになると説明するのですが、実際のところBOMはMRPのために使うものであり、自動引き落としのためだけなら工程ごとにMaster Flow(出来高1単位に必要な投入数量のマッピング)を作成するだけで十分です。

市販のパッケージでは「工程実績入力+在庫管理システム=製造管理システム」と位置づける場合があり、販売業の在庫管理は購入品(販売品)の管理だけですが、製造業の在庫管理では仕掛品と部品の管理が必要になので、在庫管理システムと生産管理システムを分けない考え方です。

さらにMRPを入れることにより、BOMから計算された部品の所要量と納期が算出され、これでもって製造オーダが作成され、これをラインごとSPK(Surat Perintah Kerja)を割り振ります。

生産管理システムのマスタ

生産管理システムのマスタ設計は大枠では部品情報と工程情報の関係を表した下図のようになり、ここに設備情報は持たせません。

Routing(工程間の繋がり)はOperation間の繋がり、Flow(親部品と子部品の繋がり)はOperationと入力品目の繋がりと考えます。

この場合、Operationという品目と工程の組み合わせ(品目の工程作業が複数R/Mパターンで可能な場合はR/Mも組み合わせる)ごとに平均サイクルタイムを設定しMRP(資源所要量計画)で使用することができます。

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