業務システム導入における負荷と効果の関係

業務システム導入において負荷と効果はトレードオフの関係

IT業界で仕事をする人間が忘れがちなことに、お客さんにとってITとは効率よくデータを収集し、情報を加工して分析材料とすることにより、本業でより大きな成果を出すための手段であって目的ではありません。

この認識をしっかり持った上でIT導入を行う場合は、運用による成果と負荷を比べて、コスパが高い部分から優先的に運用を定着させようとしますので成果が出やすく、少しでも早く成果が出れば導入に関わる人間の士気も高まり、さらに導入の進捗がブーストされるという相乗効果が生まれます。

日本人がインドネシアにIT担当として派遣されるケースは稀でしょうから、ほとんどの人にとってITは本業を達成するための手段であり、その手段を導入する案件の担当者に任命されることは、ある意味本業以外にお荷物を背負わされた感がぬぐいきれず、正直貧乏くじを引かされたような感じになる、というのが本音ではないでしょうか?

システムのプリセールスにおいて、お客さん側がIT導入による負荷よりも効果に注目している場合は、導入決定までこぎつけやすいですが、そうでない場合は負荷の面が強調されすぎて「IT導入以前にもっと先にやるべきことがあるんじゃないか」という雰囲気になり、途中で立ち消えることがしばしば起こります。

この場合のIT導入以前に先にやるべきこと、と言われることは、IT導入にアサインする人材の確保、そのために会社の利益が十分上がっていること 、従業員の基本教育、日常の業務フローの確立、業務上必要になるデータの整備、などです。

タイとインドネシアの業務システム市場の違い

同じ東南アジアの国ですが、日系のIT市場の規模は圧倒的にタイのほうが大きく、システムを提案する側であるIT会社も「タイでは商談が決まるのに何でインドネシアではなかなか決まらない、一体何が違うんだ」というモヤモヤ感があります。Thailand

タイの日系企業の場合、全般的にシステム化が比較的進んでおり、自動的にIT市場全体が分厚く成熟しており、どんな商材でも少なからずニーズを掘り起こしやすいため、商談がまとまるかどうかは別として比較的引き合いだけは得られやすい。

これはIT導入に際しての負荷よりも、得られる効果のほうに着目される傾向が強いとも言えるわけで、逆にシステム化が遅れているインドネシアの場合は、タイのようにどんな商材でもある程度のニーズがあるとは限らず、商材自体を市場に合わせる努力をより一層強くしないと引き合い自体の発掘に苦労します。

業務システムは実績系と計画系に分類されますが、在庫管理システム、会計システム、現場での実績収集システムなどは、実績というスタティックな情報を収集するという目的があり、これはインドネシア現法に派遣された駐在員にとっての使命である税務報告、本社への業績報告に直結するものなので、負荷よりも目に見える効果の証拠が得られやすい。

一方で計画系システムの場合、実績に応じて変化する生産計画はダイナミックな情報であるため、上の税務報告、本社への業績報告に直結しないので効果が形として表れにくく未知数、ただでさえ多忙な現状では後回し、とても自分の任期中にやるには負荷が高すぎる、という発想になるのが自然です。

あくまでもインドネシアと比べた場合の話ですが、タイ現地法人の場合は、赴任した時点で税務報告、本社への業績報告は既に確立済み、実績系のITインフラはある程度固まっているので、むしろ何か新しいネタを探して実績を上げよう、という発想に繋がりやすく、IT会社にとっては計画系システムやBIツール、IOTなど、一歩先のシステムの提案がし易くなります。

この状況は2017年9月現在のものですから、5年後にこの文章を読み返したときにどんな感想を持つか、自分でも楽しみです。

About the author: yamazou

インドネシアは世界第4位の人口2億5,000万人を抱え、そのうち若年層が25%を占める潜在的経済成長率が最も高い国の一つであり、なかでもジャカルタ近郊を含む都市圏人口は3,120万人と、東京都市圏に次いで世界第2位の世界屈指のメガシティを形成しています。
ジャカルタの街では高層ビルや地下鉄工事が急ピッチで進み、日々様相を変えつつあり現在進行形でアジアの経済発展を体感できます。