月末に発生しがちな業務システムデータの不一致

インドネシアの日系製造業で、業務システムを運用する中で発生するデータの不一致(discrepancy)とは、債権債務残高とGL上での残高の不一致であったり、債権一覧と売上の不一致であったり、業務システムの機能間連携の問題であることがほとんどです。

そうであればデータの不一致を防ぐために、販購買と在庫と会計が完全にリンクし、すべての受払入力によって仕訳が発生するシステムを導入すればよさそうなもんですが、システムの完全自動連携が必ずしも業務改善に繋がるとは限りません

データの不一致が発生するケース

GL上のAP/AR残高とAP/AR Aging上の残高が異なる

理論上はGLで繰り越される月初AP/AR残高と、AP/AR Aging上での前月末AP/AR残高は一致するはずですが、実際は一致しないケースがほとんどです。

  1. AP/ARをGLから直接入力している
    ⇒値引きや値増しによるDebit note/Credit noteの仕訳をGL上で発生させるとこうなります。
  2. AP/ARの仕訳生成がPosting(転記)前の承認時に行なわれる仕組みになっている。
    ⇒締め処理時にAP/ARの承認済み未Posting取引をチェックする必要があります。

複数部門にまたがる債権債務が発生しているとき

業務システムのデータの不一致は、債権債務残高とGL残高が合わないことで発覚することが多いのですが、合計金額自体が合わない場合と、合計金額は合っているが取引先ベースの振り分け合計が合わない場合があります。

債権債務を取引先ごとの金額を調整して合わせるには、資産の部門別振替と同じように、勘定科目を分割してある月末時点をカットオフと定めて相殺仕訳を作成します。

Dr. A/P(取引先コードA) 10    Cr. A/P(取引先コードM) 30
Dr. A/P(取引先コードB) 10
Dr. A/P(取引先コードC) 10

前受金が工事完成基準で処理される場合の債権と売上の不一致

営業担当者であれば、当月の売上がどの売掛から発生しているか照合し、売掛から受注に遡ることで、売上がどの受注から発生したものか照合しようと考えるでしょうが、当然ながらG/L上に表示される売上一覧は、該当月の売掛一覧と必ずしも一致しません。

営業担当者から報告される返品処理や値引処理は、Credit Noteで元データである債権情報から修正することができますが、外貨建て債権の為替差損益や税務差額の調整仕訳は、会計担当者が独自裁量で一般会計の振替伝票で行なうため、ここで債権情報とG/L上の債権科目残高の差異が生じます。

またサービスが工事完成基準で処理される場合、顧客から払い込まれる前受金はSalesではなくDown Paymentで処理されており、これが翌月になってSales化する場合には、月ベースでSalesとA/Rを比較しても一致しません(AR過多)。

  • 前受金受領時
    Dr. A/R 100    Cr. Down Payment 100
  • 工事完成時
    Dr. A/R 40        Cr. Sales 40
    Dr. Down Payment 100  Cr. Sales 100

締め処理後のデータ調整

月末に為替評価替処理を行ない、締め処理まで実行した後に「このInvoice、支払い済みなのに入力し忘れてたー」というのはよくあることです。

この場合、締め処理をキャンセルして為替評価替え処理をキャンセルしてから、Invoiceの決済処理行い、改めて為替評価替して締め処理を行なう必要があります。

この運用手順が明確でないために、為替評価替処理をキャンセルせずにInvoiceの修正を行なってしまうと、修正入力が為替評価替に反映されないことになります。

  1. 11月末のドルARのルピアベース残高:100
  2. 11月末の為替評価替え後ルピアベース残高:110
  3. 本来なら100に対して修正をかけるべきところ110に対して修正をかけることになる。

締め処理がズレ込み債権債務決済処理をフライング入力

11月末時点での債務残高を月末レートで再評価するのが為替評価替えですが、締め処理は翌月までズレるのが普通なので、その間に消し込み処理を行なってしまうと、11月末債務残高が変わってしまいます。

  1. 11月末のルピアベース残高:100
  2. 12月1日の決済処理入力後残高:90
  3. 本来なら100に対して為替評価替えすべきところを90に対して行なうことになる。

考えられる対策

実現と未実現の勘定科目を分ける

為替差損益は決済時に、債務発生時レートと決済時レートの差に基づく実現損益と月末評価替時の未実現損益の2種類ありますが、これらは勘定科目を分けておかないと為替差損益の原因となる取引をトレースバックする際に絞込みにくくなります。

  1. Forex Gain-Realized
  2. Forex Loss-Realized
  3. Forex Gain-Unrealized
  4. Forex Loss-Unrealized

システム上は為替差損益仕訳が決済で発生したものか、為替評価替で発生したものかの区別はつきますが、一般会計上では勘定科目や取引先でしかフィルターできないのが普通ですので、科目自体を上記のように分割するほうがいいです。

イレギュラー処理の運用手順の明確化

締め処理後の債権債務のデータ修正は為替評価替もキャンセルした上で行なわないと修正分が月末評価額に反映されなくなるので、イレギュラーな修正処理の運用手順を明確にしておく必要があります。

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