不正浄化が進むインドネシア

本記事のポイント

KKN(Korupsi汚職・Kolusi談合・Nepotisme縁故主義)という短縮語が、近年ではめっきり存在感が薄くなるほど、インドネシアの汚職撲滅活動は一般大衆レベルにまで浸透しています。

汚職撲滅を推進するインドネシア

2011年から始まったe-KTP(Kartu Tanda Penduduk 住民登録証)電子化予算Rp 5.9 triliumのうちのRp 2.3 triliun(2.3兆ルピア=200億円)が横領されたのではないかというKolupsi(汚職)疑獄の4番目の容疑者として、2009年から2014年までの国民議会議長(Ketua Dewan Perwakilian Rakyat)だった現ゴルカル党議長(Ketua Umum Partai Golkar)であるセティア・ノファント氏が、汚職撲滅委員会KPK(Komisi Pemberantasan Korupsi)から個人資産の調査を受けています。

今年4月にはこのインドネシア史上最大級汚職事件を担当するKPK捜査官が酸攻撃を受けて失明したり、今年8月にはe-KTPの登録時の本人確認で使用する指紋識別装置を製造するバイオモール社の社長がアメリカで不審死したりと、この事件の闇はまだまだ深そうですが、身近なところで嫁さんのKTPの角部分が1年も経たないうちに裂け始めているのは、この200億円分紙質を落としたせいではないかと疑っております。

1998年までのスハルト政権時代には権力者が汚職で捕まることは考えにくく、当時のインドネシア在住日本人が、下ネタ以外のインドネシア語で最初に覚える単語の一つに必ず含まれていたKKN(Korupsi汚職・Kolusi談合・Nepotisme縁故主義)という短縮語は、近年ではめっきり存在感が薄くなりました。

なじみの按摩屋のお姉さんが「最近は上客だった公務員達がKolupsiができなくなってお金に余裕がなくなったせいで商売あがったりだわ」と嘆いていたくらい、インドネシアの汚職撲滅活動は一般大衆レベルにまで浸透しています。

普通自動車免許(SIM A)取得代行ブローカーが激減

インドネシアで運転免許書SIM(Surat Izin Mengemudi)を取得するには以下のフローのようにフェーズIIIで学科試験、フェーズIVで実技試験がありますが、日本の試験ほど厳しくはないとはいえ、知人のインドネシア人が学科で2回落とされたというくらいですからそこそこの難易度はあるようです。

そのため忙しいジャカルタ人達は、仕事の合間をぬって学科試験の勉強をしたり、西ジャカルタのDaan MogotにあるSAMSAT(Sistem Administrasi Manunggal Satu Atap 運転免許証SIMや車両証明書STNKなどを発行する場所)に何回も通う暇はないので、以前は適当にCalo(ブローカー)にお金を積んで試験を回避するということが普通にありました。

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免許取得手続きのフロー

自分は先月、人生で初めて運転免許を紛失するという痛恨のミスを犯してしまったため、今回は更新ではなく新規で免許を取り直す必要があり、久々にSAMSATに行ってきたのですが、以前は駐車場から入り口周辺までうっとおしいくらい客引きしてきたブローカーを、今日は一人も目にしませんでした。

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12万ルピア支払い済みの領収書

完全にブローカーは駆逐されてしまったのかと思いきや、実際のところSAMSATの目の前とか駐車場とか、人目に付くところでの客引きが禁止されているだけらしく、現在でもSAMSATの外でちゃっかり免許取得手続き代行業務は行われているようですが、以前のようにブローカーが堂々とSAMSATの中にコネを使って入り込むという光景は見られません。

SAMSATの受付窓口の前にも「Caloを使うよりも自分で手続きするようにしましょう」という啓蒙の張り紙がありました。

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学科試験と実技試験合格の証明書

交通警察職員の対応も随分フレンドリーになり、日本人と判ると「シモン」とか「ジュウショ」とか日本語でコミュニケーションしようと気を使ってくれるのには若干ありがた迷惑でしたが、ブローカーが居なくなったせいか以前あった「せわしなさ」が影をひそめて若干明るくなったSAMSATの雰囲気から、インドネシア全体が一丸となってクリーンな国に生まれ変わろうとしていることを強く感じました。