美味しいのはパダン料理だけじゃなかった西スマトラのソロック(Solok)のコーヒー

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本記事のポイント

ミナンカバウ人(ミナン人・パダン人)の伝統家屋であるルマ・ガダン様式は、高床式の建屋に水牛の角をかたどった反り返った屋根が特徴的です。

Padang=Pandai Dagang(商売上手)と言われるパダン人は母系社会であり、土地や家などの遺産相続は基本は母親から娘に相続されます。

コーヒーチェリーをそのまま乾かして最後にまとめてパルピング(Pulping)するナチュラル製法でもなく、最初にパルピングして水洗いしてから乾かすウォッシュド製法とも異なり、一番表面の皮だけパルピングしてヌメヌメのスライム状のものがついたまま乾かすことで、風味を強く残しながらも精製工程で大量の水を排出しません。

乾燥中にアリの被害にあったり途中で発酵してしまったりと歩留まり率が低く手間がかかる製法なので、ジャカルタのカフェでは他の製法とは差別化して付加価値を出すために必ずハニー製法であることを強調します。

ソロックのコーヒーは非常にマイルドでフルーティ、香りもよく朝の目覚めのコーヒーにぴったりです。

最もメジャーな庶民料理と言えるパダン料理を生んだ土地

西スマトラ州と言えば州都パダン(Padang)、パダンと言えばパダン料理というくらい、2011年のCNNトラベル(CNN Travel)の「世界でもっとも美味しい料理TOP50(World’s 50 best foods)」の1位に選ばれたのが、パダン料理の代表格ルンダン(Rendang)で、インドネシア在住日本人でインドネシア料理が苦手だという人でも、このルンダンが嫌いな人は皆無だと思われます。

僕は初めてインドネシアに来た日の夜はジャカルタの安宿街ジャクサ通り(Jalan Jaksa)に泊まりましたが、右も左もわからないまま適当に入ったパダン料理のワルン(Warung 食堂)で、テーブル席に座るやいなや大量の小皿に入った料理が目の前に積み上げられて(パダン語でtatiangというシステム)唖然とした思い出があります。

食べた分だけ課金され、半分食べたら半分課金されるというシステムなんですが、残った半分はどうなるかと言えば当然のように使いまわしされ、2007年10月に発覚した高級料亭の船場吉兆「料理使いまわし事件」で大騒ぎした人なんかには到底受け入れられないシステムになっています。

パダン料理はココナッツミルクを使っているので煮込んだタレやスープはコク深くまろやかな味がする絶品で、しかも肉や野菜料理が盛ってある皿の底にたまっている料理の汁は無料なので、白ごはんだけ注文して皿を斜めに傾けて汁かけご飯にして食べれば、理屈では白ごはん分だけ支払えばOKらしいのですが、あからさまにやっている人を見たことはありません。

パダン人は気性が荒い(スマトラ島の人種全般に言える)とはよく言われますが、僕の部下のパダン人はずいぶんと温和で人間的にも出来た奴ですが、Padang=Pandai Dagang(商売上手)と文字られるように彼自身もパダン料理のワルンを経営しており、パダン料理に関してはかなりこだわりがあるようで、仕事先の工業団地近辺にあるパダン料理屋で一緒に昼飯を食べると、辛さがなりないだの、この店はジャワ人がやっているパダン料理屋だから正式のパダン料理とは言えないだの、仕事では見せない意外な一面を垣間見せます。

またパダンはインドネシアでは珍しい母系社会であり、土地や家などの遺産相続は基本は母親から娘に相続され、かくいうパダン料理を作るのはもっぱら男で、僕のパダン出身の部下も奥さんよりも自分のほうがパダン料理の腕はいいと豪語しています。

上品なまろやかさがありフルーティな風味

ミナン・ソロック(Minang Solok)の風味の傾向として、同じスマトラ産のアチェ・ガヨコーヒーよりもアロマティックであるとよく言われ、ラテンアメリカのホンジュラスやコスタリカ産に近いものがあり、個人的にはアイスコーヒー用にも適していると思います。

  • 風味の傾向
    1. 香り ★★★
    2. 苦み ★
    3. 酸み ★★
    4. コク ★★
    5. 甘み ★★★
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左が西スマトラSolok産、右が北スマトラAche Gayo産

パダンという無骨で荒々しい土地柄とは正反対に、西スマトラ州ソロックのコーヒーは非常にマイルドでフルーティ、香りもよく朝の目覚めのコーヒーにぴったりで、僕の場合は毎週日曜日の朝は西ジャカルタの裏寂れたモールSeasons City横のKedai Kopi AcehでSolokのシングルオリジンを飲むのが楽しみで、ここのSolokのマニュアルブリューで淹れたスペシャリティコーヒーに出会ったことで、コーヒー生産地の歴史や地理に興味を持ったといっても過言ではありません。

インドネシア国内でもアチェ・ガヨやトラジャに比べてそれほどメジャーな産地銘柄ではありませんが、経済発展まっしぐらで中間層が厚くなり、カフェでコーヒーを飲むクラスタが増加するにつれて、これまで輸出向けが優先で国内には流通しなかった良質な豆が、国内でも流通しはじめるにつれ、注目を浴びてくる銘柄だと思います。

実際多くのインドネシア語のコーヒー関連サイトで注目度NO1の扱いを受けているのがソロック産の豆をハニー製法(Honey Process)したものであり、コーヒーチェリーをそのまま乾かして最後にまとめてパルピング(Pulping コーヒーチェリーの果肉を除去)するナチュラル(乾燥式)でもなく、最初にパルピングして水洗いしてから乾かすウォッシュド(水洗式)とも異なり、一番表面の皮だけパルピングしてヌメヌメのスライム状のもの(これがハニーの由来)がついたまま乾かします。

ハニー製法は糖質の高いヌメヌメのスライムがついたまま乾かすので、乾燥中にアリの被害にあったり途中で発酵してしまったりと歩留まり率が低くなりがちですが、ジャカルタのカフェでは他の製法とは差別化して付加価値を出すために必ずハニー製法であることを強調して販売しています。