インドネシアのUberオンライン配車アプリの納税と許認可の問題

本記事のポイント

オンラインアプリベースの配車ビジネスには納税と許認可という2つの問題があります。

Uberの場合、乗車料金の80%が運転手、20%がUber本社に流れる仕組みで、インドネシア国内で発生した商取引についてはVATや法人税(PPH25)、サービス源泉税(PPH23)等が発生しますが、決済がアメリカのサーバー経由で行なわれることにより、お金の流れが明確に把握できなければ、適切な納税金額が計算できません。

本来公共交通機関は法人格として運送許可を取る必要があり、車両はすべて公共交通車両としての車検を合格し、法人としてのSTNK取得が義務付けられており、運転手は公共交通車両としてのSIMを持っている必要があります。

Uber本社側と運転手側の両方の問題

Uberのような海外のtransportasi berbasis aplikasi online(オンラインアプリベースの配車ビジネス)には、大きく分けて納税と許認可という2つの問題がありました。

これはFacebookやTwitterなどの広告決済でも同じことが言えると思いますが、オンラインのクレジットカード決済の場合、アメリカのサーバーを通して行なわれてしまうと、インドネシア側でどれだけ売上計上されたかが把握しにくいという問題が根本にあります。

Uberの場合、乗車料金の80%が運転手、20%がUber本社に流れる仕組みですが、インドネシア国内で発生した商取引についてはインドネシア国内にて納税すべきという原則に従えば、VAT(付加価値税)や法人税(PPH25)、サービス源泉税(PPH23)等が発生します。

ただUberがインドネシア国内に現地法人を設立したとはいえ、決済がアメリカのサーバー経由で行なわれることにより、お金の流れが明確に把握できなければ、適切な納税金額が計算できません。

また運転手に至っては、Uberの社員ではなくあくまで個人事業主であるため、売上からガソリン代、駐車場代などの諸経費を差し引いた課税所得から適切な納税額を算出し、律儀に納税する人の割合はどれだけいるのでしょうか?

インドネシアの個人事業主の法人税優遇措置

慢性的税収不足に悩むジャカルタ(インドネシア全体もそうでしょうけど)にとっては、e-commerceからの税収はドル箱になると期待されているようで、今後税務署からの徴収が厳しくなることが予想されるため、インドネシアのブログでスタートアップ向けの税金の基礎知識というエントリーをたびたび見るようになりました。

インドネシアの法人税PPH25は、Net Income(純利益)に対して原則25%の一律課税ですが、年間総売上4.8Mルピア以下の中小企業の場合は、Gross Income(総売上)の1%(利益の1%ではない)をPPH Final(源泉分離課税)として納税するという優遇措置がとられています。

近年のe-commerceを中心としたスタートアップ企業で、年間4.8Mルピアも稼いでいるPengusaha Kena Pajak(納税義務のある会社)企業は稀でしょうから、ほとんどが上記の優遇措置対象の免税事業者であり、PPH25 bulananとしてGross Incomeの1%を翌月15日までに納税し、差額調整分を翌期の4半期以内に、PPH29 tahunanとして納税する義務があります。

Uberは白タクか否か

インドネシアで公共交通機関として事業を行なうためには以下の5つ条件がありますが、Uberのように自社で運転手や車両を保有しない会社の場合、従来型の審査基準では測りきれませんので、現在でも「キチンと納税することを条件としてとりあえず許可を与えている」という状態です。

  1. 公共交通機関ビジネスは法人として行なわれなければならない。
  2. 公共交通車両は運送許可を持っていなければならない。
  3. すべての車両は公共交通車両としての車検を合格している必要がある。
  4. すべての車両は法人としてのSTNK(車両登録番号)を登録されている必要がある。
  5. 運転手は公共交通車両用のSIM(免許証)を持っている必要がある。

Uberは白タクか否か、という議論は昔からありますが、上記の5つが公共交通機関としての許認可の条件であるなら、Uberはまばゆいばかりの光を放つ白タクに該当するわけで、ブルーバードなどの従来型のタクシー組合が反発するのも理解できます。

ただUberに関わる納税と許認可の問題は、インドネシアだけではなく世界中でも発生している共通課題であり、e-commerce市場の発展を妨げないようにしながら、一方ではキチンと許認可を取得して納税の義務を果たしている従来型の公共交通機関がバカを見ないようにバランスをとる、という難しい課題があるわけです。